日本の災害医療への備え:医薬品、119番、保険
日本の災害医療への備え: 7日分の薬、119/#7119 の英語によるサポート、保険/自己負担金の軽減手順。

日本での地震や台風は、電車の運行や日常生活を混乱させるだけでなく、医療体制にも大きな混乱をもたらします。外国人居住者や旅行者にとって、日本の災害医療体制は必要なときに十分に機能しないことが少なくありません。症状を説明できない、処方履歴を確認できない、通常の医療システムが逼迫している状況で医療費がどのように算出されるのかわからない、といった事態が起こりえます。
情報へのアクセスは大きな課題です。埼玉県が外国人住民424名を対象に実施した調査(2024年10月~12月調査、2025年2月公表)では、災害時の不安として最も多かったのは「家族や友人と連絡が取れない」(60.8%)で、次いで「十分な情報を迅速に得られるか不安」(42.0%)でした。また、災害情報はインターネットから入手する人が多く(65.1%)、LINEが主要な情報源となっている(72.4%)ことも示されています。 (出典:埼玉県令和6年度外国人住民意識調査報告書)
埼玉県の調査概要: 「家族や友人と連絡が取れない」(60.8%)、「十分な情報を迅速に得られるか不安」(42.0%)、「災害時の情報源はインターネット」(65.1%)、「LINEの利用率が高い」(72.4%)。 レポート全文はこちら(PDF)
他に何もしなくても、 (1)必須の薬を少なくとも7日分用意しておく、(2)薬の記録を維持する(お薬手帳またはアプリ+写真)、(3) 緊急時には119番、地域の#7119トリアージラインを覚えておく、(4)多言語の医療フォームと保険会社の災害規則へのリンクを保存する、といった対策を講じてください。
日本向けの緊急医療バッグのチェックリストです
ほとんどの「非常持ち出し袋」リストは、水、現金、充電器に重点を置いています。日本における災害医療への備えにおいて、最大のリスクは服薬の継続の途絶とコミュニケーションの断絶です。特に慢性疾患(喘息、糖尿病、高血圧、てんかん、精神科の薬など)を抱えている場合はなおさらです。
なぜ「7日分」の医薬品が必要なのか? 2024年能登半島地震の対応に関する査読済み報告書では、最初の1週間は医薬品の補充が困難であり、 7日分の医薬品備蓄が不可欠であると指摘されています。 (出典:2024年能登半島地震の対応に関する東北実験医学ジャーナルの記事)
地震時の緊急医薬品キットの基本チェックリスト
- 処方薬 7日分以上(持ち運び用+非常用バッグ+可能であれば自宅用バックアップに分けて)
- お薬手帳:紙のお薬手帳やお薬手帳をプリントアウトしたもの
- 薬の写真:(a)各薬瓶/箱のラベル、(b)ブリスターパック、(c)薬局でよく提供される処方箋ステッカーの鮮明な写真
- 簡易薬剤リスト(印刷):一般名(有効成分)、投与量、スケジュール、処方医院、薬局名/電話番号
- 予備医療機器:吸入器スペーサー、血糖測定ストリップ、インスリン注射針、エピペン、CPAP用品(該当する場合)
- 基本的な応急処置:包帯、消毒用ウェットティッシュ、水ぶくれのケア、ピンセット、小さなはさみ
- 感染症および避難所での健康用品:マスク、手指消毒剤、ティッシュ、小型体温計、経口補水塩
- 身分証明書のコピー/写真:在留カードやパスポート、および保険資格を証明するもの(以下の保険のセクションを参照)
- 連絡用バックアップカード(1ページ):氏名、生年月日、血液型(分かれば)、アレルギー、病状、緊急連絡先(日本国内+海外)、日本語での住所
日本の災害時に役立つ実用的な梱包のヒント
- 地震の際も薬を安全に保管しましょう。壊れやすいものや液体は、密閉ポーチや硬いケースに入れて持ち運ぶようにしてください。
- 救急車から尋ねられることが多いため、建物名と部屋番号を含めた日本語の住所形式を使用してください。 (通話フロー例:横浜「緊急サービスへの通報」)
- 夜間/休日のための現金:保険に加入していても、時間外料金や薬局の支払いがすぐに必要になる場合があります。
災害時に処方箋を確保する方法です
大地震や台風が発生した場合、医療へのアクセスを失う最も早い原因は、処方箋の内容、つまり何を服用し、どのくらいの用量で服用し、最後にいつ受け取ったかが分からなくなることです。目標は、服薬情報を持ち運び可能で、読みやすく、検証可能なものにすることです。
1)お薬手帳を「医療パスポート」のように使いましょう
日本で広く使われている服薬記録システム(一般に「お薬手帳」)があり、災害医療研究では、服薬記録は大規模災害時に薬剤師が必要な医薬品を特定するのに役立つことが指摘されています。また、同じ研究では、大規模災害時には災害関連の免除措置により、処方箋なしで必要な処方薬にアクセスできる可能性があることも示されています。ただし、必要な医薬品が特定できる場合に限られます。 (出典:ケンブリッジ・コア、災害医療と公衆衛生への備え、2023年)
- 紙は依然として重要です。避難所で電池切れやネットワーク障害が発生する可能性があるため、少なくとも紙の記録は保管しておきましょう。
- 写真はバックアップです。最新の薬局のステッカーや薬のパッケージの写真を撮っておきましょう。
- 絶対に服用しなければならない薬(インスリン、発作治療薬、抗凝固薬、ステロイドなど)は大きな文字で明記してください。
2) 電子お薬手帳+マイナポータル連携を検討する
日本の厚生労働省(MHLW)は、対応する電子お薬手帳アプリを使用すると、マイナポータルと連携し、(同意を得て)医療機関や薬局が発行したお薬手帳を呼び出すことができると説明しています。 (出典:厚生労働省「電子版お薬手帳」ページ)
災害時の現実:アプリは、ログイン情報が使え、端末の電源が確保されているときに最も役立ちます。アプリに頼る場合は、バッグの中に小さな紙の予備を入れておきましょう。
3) 日本の「4日ルール」を知って、誤って薬を紛失しないようにしましょう
これは外国人には驚きであることが多いです。厚生労働省は、保険医療機関で発行される処方箋の有効期限は、長期旅行などの特別な事情により医師・歯科医師が別の期間を記入しない限り、発行日を含めて4日間(週末・祝日も含む)有効であるとしています。 (出典:厚生労働省「処方箋の使用期間にご留意ください」)
- 行動ステップ:台風が近づいている場合や輸送に問題が発生することが予想される場合は、早めに薬を受け取ってください。
- 期限を過ぎた場合:クリニックで新しい処方箋を再発行してもらう必要があるかもしれません(嵐や休日の前に計画を立ててください)。
4) 電子処方箋(e-処方箋)は「ゼロからのスタート」を削減できる
厚生労働省は、電子処方箋システムについて、単に処方箋を電子的に処理するだけでなく、医療機関や薬局が最近の処方・調剤情報を参照したり、重複投薬チェックなどの確認を行うことができるシステムであると説明しています。(出典:厚生労働省「電子処方箋」)
実際には、電子処方箋対応のクリニックや薬局を利用している場合、施設間での服薬履歴の確認が容易になることを意味します。厚生労働省は、同じページで電子処方箋対応施設のマップ/リストも公開しています。平常時に活用して、「プランB薬局」を構築しましょう。(参照:厚生労働省の電子処方箋リソースと施設マップの更新)
5) カードを紛失した場合でも、災害モードの資格確認が役立ちます
厚生労働省は、被災地においてオンライン資格確認システムを利用する医療機関や薬局が「災害時医療情報閲覧機能」を利用できると説明しています。これにより、マイナンバーカードをお持ちでない患者様でも、氏名や生年月日などの個人情報をもとにお薬情報や受診情報、健康診断情報を閲覧することが可能となります。 (出典:厚生労働省「オンライン資格確認…災害時・障害対応時について」)
特定のシステムに頼り切るのではなく、自分の薬の情報を携帯してください。しかし、災害で書類が混乱した場合に日本には「代替手段」があることを知っておくのは良いことです。
英語で緊急医療の助けを受ける方法です(119・#7119・通訳サービス)
地面が揺れたり、洪水が襲ってきたりしたとき、完璧な日本語で説明できることが前提ではありません。大切なのは、連絡を取り、トリアージを受け、必要に応じて搬送してもらうことです。
119:救急車と消防車(日本で英語で119に電話する方法)
日本では、 119番は火災や救急車の緊急通報番号です。渋谷区の多言語ガイダンスでは救急車の搬送は無料(病院での治療費は別途かかります)ことが説明されており、簡単なフレーズ例も紹介されています。 (出典:渋谷区「119番」)
何を言うか(簡単なスクリプト)
- 119にダイヤルしてください。
- 必要なことを言ってください: 「救急です」、または火事の場合は「火事です」。 (渋谷の例)
- 住所は日本語の順序(区・市、町、番地、建物名、部屋番号)で伝えてください。
- 状況を説明します:意識、呼吸、出血、胸痛、重度のアレルギー反応など。
- 確認のため折り返し連絡が来る場合がありますので、通話が切れないようにしてください(自治体によっては、電話後も電話を切らないようにお願いしている場合があります)。 (渋谷のガイダンス)
通訳サポートは地域によって異なります(コピーできる例)
横浜市では、日本語が話せなくても、119番通報時に三者通話(発信者-消防署-通訳者)で通訳サービスを依頼できると説明しています。対応言語は英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語で、119番通報と消防車または救急車の出動は無料です。 (出典:横浜市「緊急通報」)
厚木市(神奈川県)では、119番通報や現場でのコミュニケーションに多言語通訳システムを導入しており、32言語に対応した、電話通訳センターによる24時間365日の三者同時通訳を提供しています。 (出典:厚木市「外国人の方からの119番通報等について」)
重要:すべての自治体が同じ体制を用意しているわけではなく、運用方法も異なる場合があります。日本に長期滞在する場合は、今すぐ(次の地震の前に)お住まいの自治体の消防署の多言語ページを確認し、スクリーンショットをオフラインで保存しておきましょう。
#7119: 看護師/医師主導のトリアージアドバイス(地域差が重要)
#7119 は、日本の多くの地域で「病院に行くべきか、救急車を呼ぶべきか」を相談するための電話番号として一般的に使われていますが、利用可否や運用は地域によって異なります。
東京:東京消防庁によると、救急相談センター「7119」は、病院に行くべきか救急車を呼ぶべきか迷った場合に対応しており、医師と看護師を含む相談医療チームが24時間365日対応しています。また、英語対応のウェブベースの「東京救急医療ガイド」も提供しています。 (出典:東京消防庁「7119」のページ)
神奈川県では、県がかながわ救急相談センターを運営しており、#7119に加えて直通バックアップ番号として045-232-7119および045-523-7119が案内されています。一部の固定電話では#ダイヤルが使えず直通番号を利用する必要があることが記載されています。 (出典:神奈川県#7119ページ)
具体的な運用変更例(横浜市・神奈川):横浜市は、神奈川全域のシステム運用変更に伴い、#7119および045-232-7119が一部の時間帯で一時的に利用できなくなることを発表し、045-523-7119をバックアップ番号として提供しました。 (出典:横浜市プレスリリース、2024年10月29日)
大阪市では、「救急安心センター」の電話番号として「#7119」が使われており、#ダイヤルが使えない電話の場合の番号として「06-6582-7119」が掲載されています。 (例:大阪市浪速区英語リソースリスト)
さらに2つの実用的なリソース(特に日本語を話さない人向け)
- AMDA国際医療情報センター(電話による医療相談):センターの相談電話番号は03-6233-9266(月~金 10:00~16:00)です。 (出典:AMDA国際医療情報センターお問い合わせページ)
- 東京:外国人住民のための医療情報:八王子市の公式英語ページには、東京都外国人住民医療情報サービスの電話番号が03-5285-8181として記載されています。 (出典:八王子市「救急医療サービス」)
費用と手続きについてです(保険・自己負担免除・多言語医療フォーム)
災害時には、「支払えるか」が大きな問題になります。幸いなことに、日本には被災者への給付金支給の資格確認や、場合によっては災害関連の費用負担軽減のための制度が整っています。しかし、難しいのは、給付金の対象や手続きが保険会社や災害認定の状況によって異なる点です。
救急車の搬送は無料だが、治療費はかかる
市区町村の多言語対応ページではこの点が強調されていることが多いです。例えば、渋谷区では救急車の利用は無料だが、病院での診察・治療費は自己負担になると説明しています。 (出典:渋谷区「119番」)
日本の災害医療保険の自己負担免除:その内容と適用方法
一部の保険会社では、災害による自己負担の免除について明確に説明しています。例えば、東京証券業健康保険組合は、厚生労働省の通知に基づき、大規模災害により被災し、災害救助法の適用を受ける市町村に居住し、一定の被害を受けたなどの条件を満たす場合、保険医療機関および保険薬局における自己負担を免除することができるとしています。 (出典:証券健保「自然災害に遭われた方へ」)
実際の生活でこれをどのように使うか:
- お住まいの地域が災害救助法の対象地域かどうかを確認してください(保険会社が公式リストへのリンクを提供している場合があります)。
- 加入している保険者(会社の健康保険組合、国民健康保険事務所など)に連絡し、どのような災害対策が適用されるかを確認してください。
- 可能であれば、損害や困難の証拠を保管してください(ただし、以下の能登の例を参照してください。特別措置中は、窓口での口頭による申告だけで十分な場合もあります)。
特例措置の例:2024年能登半島地震「窓口支払い禁止」の案内
令和6年能登半島地震の対応において、厚生労働省は、被災者が一定の条件(例えば、家屋の損壊・浸水、収入の減少など)に該当することを申告すれば、窓口で自己負担なく医療を受けられるとするガイダンスを発表しました。また、窓口での罹災証明書の提出は不要であり、口頭での申告でも差し支えないとしています。 (出典:厚生労働省能登半島地震ガイダンスページ)
これは一例であり、普遍的なルールではありません。しかし、大きな災害が発生した際に、厚生労働省と保険会社の災害情報ページを確認する必要がある理由を示しています。
必要になる前にダウンロードできる多言語医療フォーム
厚生労働省は、ダウンロード可能な多言語による患者向け医療文書(問診、同意書、検査、手術など)の公式リストを公開しています。また、 2024年4月にはヒンディー語、インドネシア語、ネパール語、タガログ語、タイ語、ベトナム語などの言語が追加され、 2025年2月には慢性疾患に有用な生活習慣病ケアプラン文書が追加されました。 (出典:厚生労働省 多言語説明資料リスト)
- 緊急用バッグへの持ち込み:2~3つの重要なフォーム(服用量+同意書+症状の説明)を印刷し、防水スリーブに入れて保管してください。
- 電話の移動:リンクをオフラインで保存するか、「フォームリスト」ページのタイトルとナビゲーションパスのスクリーンショットを撮って後ですぐに見つけられるようにしましょう。
災害時の外国語サポートは時間的に制限されることがある
厚生労働省は、能登被災地における外国人被災者支援策を文書化しており、被災県における期間限定の遠隔医療通訳サポートラインの設置もその一つです。専用電話番号は03-5366-6076で、利用期間は2024年1月10日から3月31日までと案内されていました。 (出典:厚生労働省 外国人被災者向け情報ページ(能登))
外国人住民にとって重要な教訓は、この番号が常に存在するわけではないということで、災害が宣言された際には支援プログラムが短期間で設置される可能性があるため、厚生労働省、都道府県、市町村からの公式な最新情報に注意する必要があるという点です。
ボーナス: 多言語の災害アプリ/ウェブリソースリーフレット(二次的なものですが、便利です)
災害時に役立つアプリやウェブサイトを多言語でまとめた政府のリストをご希望の方は、内閣府がダウンロード可能なリーフレットを公開しています。(出典:内閣府「災害時に役立つアプリ・ウェブサイト」)
災害時の書類に関する心構え:薬の情報を自分で携帯し、緊急連絡先を把握し、災害救助法や特別措置が発動されたときに規則が変更される可能性があることを想定しておいてください。
さらにサポートが必要な場合は、LO-PAL でお問い合わせください。
日本の災害医療への備えは、地域ごとに計画することではるかに容易になります。最善の計画は一般的なものではなく、「近くで実際に開いている夜間診療所はどれか?」「どの薬局で薬を扱ってもらえるか?」「ここの避難所では、医療機器、プライバシー、薬の保管に関するルールはどうなっているか?」といった具体的な点に基づくものです。
まさにそのためにLO-PALを開発しました。LO-PALでは、質問を投稿したり、タスクを依頼したりすると、お住まいの地域の日本人ヘルパーが対応してくれます。そのため、地域の状況(最寄りの夜間診療所、最寄りの薬局、電話での対応、病棟の最新情報の投稿場所、指定避難場所に何を持っていくかなど)に基づいた実践的な計画を立てることができます。
ご希望の場合は、次のようなものを投稿してください。
- 「(駅)の近くに住んでいます。一番近い夜間診療所と、夜遅くまで開いている薬局はどこですか?」
- 「家族のための災害時の医療持ち出し袋リスト(喘息、糖尿病など)の作成を手伝ってもらえますか?」
- 「この地域ではどの番号に電話すればいいですか?#7119、市内線、それとも他の番号ですか?」
次に地震や台風が来たとき、きっと「地元の人に尋ねておいてよかった」と思うでしょう。
この記事のライター

LO-PAL 創業者
厚生労働省支援の外国人患者受入れ医療コーディネーター、法務の専門家。自らの海外生活経験と医療現場での知見をもとにLO-PALを設立。
※ 一部AIを使用して執筆しています
詳しいプロフィール →


