日本の健康保険がカバーしない治療・サービス:高額な自己負担とその対処法
日本の健康保険は承認された治療の70%をカバーしますが、インプラント、眼鏡、カウンセリング、正常分娩、ほとんどの予防接種は保険適用外です。費用と対処法を含む全適用外リスト。

結論からお伝えすると、日本の健康保険は「医学的に必要」と判断される治療の70%をカバーしますが、外国人の方にとっては、そのギャップが予想以上に大きいことに驚かれるかもしれません。歯科インプラント、眼鏡、精神科のカウンセリング、正常分娩、ほとんどの予防接種は保険適用外です。このガイドでは、主な保険適用外の項目、実際に自己負担となる費用、そしてそれぞれの項目で生じる自己負担にどう対応するかを説明します。
本情報は2026年3月現在のものです。厚生労働省が承認する治療リスト、協会けんぽのガイドライン、各市町村の医療プログラム情報に基づいています。LO-PALの創設者であり、大阪の病院で外国人患者の医療コーディネーターを務めていた私は、これらの保険適用外によって生じる予期せぬ請求に患者さんが対処できるよう支援してきました。「保険でカバーされると思っていたのに」と後悔される瞬間は、皆さんが思っているよりもはるかに多いのです。
早見表:保険適用と適用外
| カテゴリ | 保険適用(自己負担3割) | 保険適用外(自己負担10割) |
|---|---|---|
| 歯科 | 基本的な詰め物、抜歯、銀歯、根管治療、歯周病治療 | インプラント(1本あたり30万~50万円)、セラミック冠、ホワイトニング、歯科矯正 |
| 眼科 | 眼病治療(緑内障、白内障、結膜炎など) | 眼鏡、コンタクトレンズ、レーシック、視力矯正 |
| 精神保健 | 精神科医の診察、処方薬、精神科入院治療 | 臨床心理士によるカウンセリング(1回6,000~15,000円) |
| 出産 | 帝王切開、合併症など、医学的処置が必要な場合 | 正常分娩(合併症なし) — 40万~65万円 |
| 予防接種 | なし(保険診療ではないため) | インフルエンザ予防接種(約3,000~5,000円)、ほとんどの任意接種 |
| 健康診断 | 症状がある場合の検査 | 総合的な健康診断(人間ドック: 3万~10万円以上) |
| 病院での追加費用 | 標準的な大部屋、治療、標準的な食事 | 個室の追加料金(差額ベッド代: 1泊5,000~30,000円以上) |
| 美容 | 怪我や病気後の再建手術 | 美容整形、ボトックス、植毛 |
| 不妊治療 | 体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、その他多くの治療(2022年4月より保険適用) | 一部の高度・実験的な不妊治療 |
歯科:高額な自己負担の筆頭
日本の健康保険は、基本的な歯科治療を十分にカバーしています。詰め物、抜歯、根管治療、銀歯はすべて標準の自己負担3割で適用されます。一般的な保険適用の詰め物は、自己負担が2,000~3,000円です。
しかし、基本的な治療以外のものはすべて自己負担となります。
- インプラント:1本あたり30万~50万円。クリニックによってはさらに高額になる場合もあります。
- セラミックまたは白い歯の冠:1本あたり5万~15万円(銀歯は保険適用ですが、セラミックは適用外です)
- 歯科矯正(歯列矯正):治療全体で60万~120万円
- 歯のホワイトニング:1回あたり1万~5万円
ヒント:保険適用外の高額な歯科治療が必要な場合、母国や費用が安い近隣国へ行く人もいます。日本で治療を受ける場合は、多くの歯科医院で分割払いを提供しています。
眼科:眼鏡とコンタクトレンズは全額自己負担
保険は目の病気(緑内障、白内障、結膜炎など)の治療はカバーしますが、視力矯正はカバーしません。
- 眼鏡:フレームとレンズにより5,000~50,000円以上
- コンタクトレンズ:使い捨ての場合、月額3,000~10,000円
- レーシック:両眼で20万~50万円
子供の例外:8歳未満の子供で医師が処方した治療用眼鏡は、保険から一部払い戻しがあります(眼鏡1本につき約38,900円まで)。
ヒント:JINS、Zoff、Owndaysなどの低価格眼鏡チェーンでは、レンズ込みで5,000~10,000円から眼鏡を提供しています。処方箋は不要で、店舗内で視力検査を行ってくれます。
精神保健:精神科は適用、カウンセリングは通常適用外
この違いは多くの方を驚かせます。
| 保険適用(自己負担3割) | 保険適用外 |
|---|---|
| 精神科医の診察 | 個人のクリニックでの臨床心理士によるカウンセリング(1回6,000~15,000円) |
| 処方薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤) | コーチング、夫婦療法、ライフコーチング |
| 心療内科の受診 | オンラインセラピーのプラットフォーム(通常1回5,000~15,000円) |
| 精神科入院治療 |
費用を抑える方法 — 自立支援医療:うつ病、不安障害、双極性障害、統合失調症、てんかんなど、継続的な精神疾患をお持ちの場合、精神科医の診断書を持って市区町村の役所でこの制度を申請できます。これにより、関連する外来精神科治療や薬の自己負担が3割から1割に減額されます。これは年間数万円の節約になります。
申請方法:
- 精神科医に診断書を依頼する
- 診断書を持って市区町村の役所の障害福祉課へ行く
- 「自立支援医療の申請をしたいです」と伝える
- 処理には1~2か月かかりますが、特典は申請日に遡って適用されます
出産:正常分娩は適用外(ただし50万円が支給されます)
日本の健康保険は、正常分娩(合併症なし)を医療行為ではなく「疾病」ではないとみなすため、7割/3割の保険適用対象とはなりません。
その代わり、すべての加入者は出産育児一時金(しゅっさんいくじいちじきん)として一律50万円(2023年4月より42万円から増額)を受け取れます。ほとんどの場合、この一時金は病院に直接支払われるため、差額のみを支払うことになります。
| ケース | カバー範囲 |
|---|---|
| 経腟分娩(正常) | 保険適用外 — 出産育児一時金50万円で費用を相殺 |
| 帝王切開 | 手術部分が自己負担3割でカバーされる + 出産育児一時金 |
| 分娩中の合併症 | 医療処置が自己負担3割でカバーされる + 出産育児一時金 |
| 妊婦健診 | 市区町村から14回の無料券(合計8万~12万円相当) |
| 分娩中の個室 | 保険適用外(病院により追加料金が異なります) |
今後の変更:政府は正常分娩を健康保険の適用対象とする計画を発表していますが、実施時期は2028会計年度に延期されました。それまでは、50万円の一時金制度が継続されます。
詳しい内訳は、日本での出産費用に関するガイドをご覧ください。
予防接種:種類によって異なる
日本の予防接種は、健康保険を通じて請求されることは一切ありません。しかし、だからといって常に全額自己負担になるわけではありません。
定期接種 — 公費負担
これらは、健康保険ではなく、地方自治体の券制度を通じて無料または最小限の費用で提供されます。
- 子供向け:Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、DPT/IPV、BCG、麻疹/風疹(MR)、水痘、日本脳炎、HPV
- 高齢者(65歳以上):インフルエンザ、肺炎球菌
接種スケジュールや無料券については、お住まいの市区町村の保健センターにご確認ください。
任意接種 — 自己負担
これらは100%自己負担です。
- インフルエンザ(一般向け):1回あたり約3,000~5,000円
- おたふくかぜ:約5,000~8,000円
- A型肝炎:1回あたり約7,000~10,000円
- 髄膜炎菌:約20,000~25,000円
その他の主な保険適用外項目
- 人間ドック:総合的な健康診断で3万~10万円以上かかります。ただし、多くの雇用主は毎年健康診断を無料で提供しており、国民健康保険(NHI)加入者は、基本的な市区町村の特定健康診査を無料または低額で受けることができます。
- 病院の個室(差額ベッド代):個室を希望した場合(または個室に割り当てられた場合)、追加料金は保険適用外です。費用:1泊5,000~30,000円以上。大部屋が利用できなかった場合に、個室料金の支払いを強制されることはありません。これは、個室を希望した場合にのみ適用されます。
- 先進医療:標準的な保険でまだ承認されていない最先端の治療は全額自己負担です。これが、一部の人が日本で民間医療保険に加入する主な理由です。
- 特定の原因による怪我:自傷行為、喧嘩による怪我、犯罪行為、重度の泥酔による怪我は、保険適用外となる場合があります。
- 海外での治療:限定的な払い戻し(海外療養費)は可能ですが、日本の医療費基準での払い戻しとなるため、通常、米国やヨーロッパでの費用よりはるかに低額です。
保険適用外の費用への対処法
| 保険適用外項目 | 対策 |
|---|---|
| 歯科インプラント/歯科矯正 | 年間医療費が10万円を超える場合、医療費控除の対象となります |
| 精神科のカウンセリング | 自立支援医療を申請する(精神科については自己負担1割);病院に併設されたカウンセラーを探す(精神科を通じて請求される場合がある) |
| 出産 | 50万円の一時金 + 合併症発生時の高額療養費制度 |
| 高額な医療費 | 高額療養費制度により、月間の自己負担額に上限が設けられます(ほとんどの所得層で約8万~9万円) |
| 先進医療 | 民間医療保険(民間保険) — アフラック、メットライフなどが追加プランを提供しています |
| 一般的な自己負担額 | 年間の医療費が合計10万円を超える場合、医療費控除(税務署で確定申告)の対象となります |
病院で役立つ日本語フレーズ
| 英語 | 日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| Is this treatment covered by insurance? | この治療は保険適用ですか? | Kono chiryō wa hoken tekiyō desu ka? |
| How much will I pay out of pocket? | 自己負担はいくらになりますか? | Jiko futan wa ikura ni narimasu ka? |
| I want the insurance-covered option | 保険適用のものでお願いします | Hoken tekiyō no mono de onegai shimasu |
| I'd like to apply for Jiritsu Shien Iryo | 自立支援医療を申請したいです | Jiritsu shien iryō o shinsei shitai desu |
| Can I get a cost estimate before treatment? | 治療前に費用の見積もりをもらえますか? | Chiryō mae ni hiyō no mitsumori o moraemasu ka? |
| I don't need a private room | 個室は不要です | Koshitsu wa fuyō desu |
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この記事のライター

LO-PAL 創業者
厚生労働省支援の外国人患者受入れ医療コーディネーター、法務の専門家。自らの海外生活経験と医療現場での知見をもとにLO-PALを設立。
※ 一部AIを使用して執筆しています
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