日本の残業代計算:固定残業代の落とし穴と給与確認のポイント
固定残業代(みなし残業とも呼ばれます)は未払い賃金を隠している可能性があります。3つの法的確認ポイント、5分でできる給与明細チェック、最大150%の割増率、そして過小評価を見抜く方法をご紹介します。

まとめ:雇用契約書に固定残業代に関する記載がある場合、会社から法律に反する低賃金しか支払われていない可能性があります。固定残業代が有効となるのは、基本給と残業代が契約書で明確に区分され、対象となる残業時間数が明記されており、かつ超過分の残業代が支払われる場合に限られます。しかし、多くの雇用契約では、これらの要件のうち少なくとも一つが満たされていないのが現状です。この記事では、わずか5分でご自身の給与明細を確認する方法をご紹介します。
本情報は労働基準法および厚生労働省のガイドラインに基づき、2026年3月現在の情報です。2023年4月以降、月60時間を超える残業に対する50%の割増賃金が、中小企業を含む全ての企業に適用されるようになりました。ご自身の権利の全容については、日本における外国人労働者の権利に関するガイドをご覧ください。
残業手当の割増率:法律の定め
| 勤務形態 | 割増率(基本時給に対する) | 例(基本時給1,500円の場合) |
|---|---|---|
| 通常の残業(1日8時間または週40時間を超える場合) | 125% | 1,875円/時 |
| 深夜労働(22:00~05:00) | 125% | 1,875円/時 |
| 法定休日労働 | 135% | 2,025円/時 |
| 月60時間を超える残業 | 150% | 2,250円/時 |
| 通常の残業+深夜労働 | 150% | 2,250円/時 |
| 60時間超の残業+深夜労働 | 175% | 2,625円/時 |
| 休日労働+深夜労働 | 160% | 2,400円/時 |
主な変更点(2023年4月):月60時間を超える残業に対する50%の割増賃金が、中小企業を含む全ての企業に適用されるようになりました。以前は、大企業のみがこの割合を支払う義務がありました。
基本時給の計算方法
基本時給は全ての残業計算の基礎となります。計算方法は以下の通りです。
計算式:月額基本給 ÷ 月平均労働時間 = 基本時給
重要:「月額基本給」には以下の項目は含まれません。
- 通勤手当
- 家族手当
- 住宅手当
- 定期的に支払われないボーナス(一時金など)
- 固定残業手当は基本給計算時に除外する必要があります。
例:
- 月給:300,000円(固定残業代50,000円、通勤手当15,000円を含む)
- 基本給:300,000円 – 50,000円 – 15,000円 = 235,000円
- 月間労働時間:160時間(8時間 × 20日)
- 基本時給:235,000円 ÷ 160 = 1,469円/時
- 残業代(125%割増):1,469円 × 1.25 = 1,836円/時
固定残業代:3つの確認ポイント
固定残業代(みなし残業とも呼ばれます)は、給与にあらかじめ一定時間分の残業代が含まれている制度です。これは合法とされていますが、以下の3つの条件をすべて満たしている場合にのみ有効となります。
確認ポイント1:明確区分性
雇用契約書および給与明細に明確に記載されていることが必要です。
- 基本給:XXX,XXX円
- 固定残業手当:XX,XXX円(XX時間分)
要注意:雇用契約書に「月給:300,000円(残業代込み)」としか記載されておらず、内訳が明示されていない場合は、この要件を満たしません。
確認ポイント2:時間数と金額の明示
雇用契約書には、対象となる残業時間数と金額が明確に記載されている必要があります。例:「固定残業手当:30時間分として50,000円」
要注意:「残業代込み」や「残業あり」など、時間数が明記されていない場合は違法です。
確認ポイント3:超過分の支払い義務
固定された時間数よりも多く働いた場合、会社は法定の割増率で差額を支払わなければなりません。これは交渉の余地がありません。
要注意:会社が「実際の労働時間にかかわらず残業は30時間まで」と言っている場合 — 実際にそれ以上働いている場合は違法です。
これら3つの確認ポイントのいずれか一つでも満たされていない場合、固定残業代の取り決め全体が無効となります。これは、全ての残業が法定の割増率で別途計算され、支払われるべきだったことを意味します。最大で過去3年分に遡って請求できる可能性があります。
5分でできる給与明細チェック
最新の給与明細(給与明細 / kyuuyo meisai)をお手元に用意し、以下の質問に答えてください。
- 固定残業手当またはみなし残業手当という独立した項目がありますか? ない場合 → 会社が基本給の中に残業代を隠している可能性があります。
- その項目に具体的な時間数(例:「30時間分」)が記載されていますか? ない場合 → その取り決めは無効である可能性があります。
- 計算は合っていますか? 固定残業代の金額を記載された時間数で割ってみましょう。その結果が、あなたの基本時給 × 1.25よりも少ない場合、あなたは過小評価されています。
- 今月、固定時間数よりも多く働きましたか? タイムカードなどの勤怠記録を確認してください。もしそうであれば、給与明細に残業代の追加項目がありますか? ない場合 → あなたは未払い賃金を請求すべきです。
- 固定残業代を除いたあなたの基本給は、最低賃金をまだ満たしていますか? 計算式:基本給 ÷ 月間労働時間 ≥ あなたの都道府県の最低賃金。もし下回っていれば → その取り決めは違法です。
いずれかの回答で注意すべき点が見つかった場合、あなたは未払い賃金を請求できる可能性があります。時効は、各未払い賃金の支払日から3年です。実際にそのお金を回収する方法については、未払い賃金を回収する方法に関するガイドをご覧ください。
三六協定の確認:あなたの会社は締結していますか?
労働基準法のもとでは、三六協定(三六協定 / saburoku kyoutei)がなければ、いかなる残業も命じることはできません。三六協定とは、会社と従業員代表者との間で交わされ、労働基準監督署に届け出られた書面による協定です。
三六協定があっても、残業時間には上限があります。
- 月45時間、年360時間(通常)
- 月100時間、年720時間(特別条項、年間最大6ヶ月)
会社が三六協定を届け出ていない場合、全ての残業は違法となります。人事部に「三六協定の届出はありますか?(Saburoku kyoutei no todokede wa arimasu ka?)」と尋ねて確認できます。
日本語で給与明細を確認したり、人事部に尋ねたりすることにリスクを感じたり、負担に思ったりする場合、まさにそのために私がLO-PALを立ち上げました。無料で質問を投稿してください — 現地の専門家があなたの給与明細を確認し、あなたに支払われるべき金額を計算し、会社に知られることなく選択肢を説明してくれます。
外国人労働者が過小評価されがちな一般的なパターン
- サービス残業:「みんなやっているから」という理由で無給の残業をすること。これは職場の文化に関わらず違法です。
- 名ばかり管理職:残業代の支払い義務を免れるために「管理者」という肩書きを与えられること。実際の権限を持つ真の管理監督者(kanri kantokusha)のみが免除されます。
- 勤怠記録の改ざん:18:00にタイムカードを切るように言われ、その後も働き続けること。自分で記録を残しましょう(スクリーンショット、交通系ICカードの利用履歴、勤務時間外に送信したメールなど)。
- 法外に高い固定残業時間の設定:給与に「固定残業代:80時間」が組み込まれている場合。これは要注意です — 特別条項がない場合の標準的な上限は月45時間です。
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この記事のライター

LO-PAL 創業者
厚生労働省支援の外国人患者受入れ医療コーディネーター、法務の専門家。自らの海外生活経験と医療現場での知見をもとにLO-PALを設立。
※ 一部AIを使用して執筆しています
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